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2018年4月28日 (土)

文楽4月公演「本朝廿四孝」ほかを見ました

 先日、国立文楽劇場で4月公演の昼の部を見てきました。プログラムは次の通りです。

  本朝廿四孝(ほんちょう にじゅうしこう)

     桔梗原の段
     吉田幸助改め五代目吉田玉助襲名披露口上
     景勝下駄の段
     襲名披露狂言 勘助住家の段

  義経千本桜
     道行初音旅


 吉田幸助改め
五代目吉田玉助さんは50代初めくらいの人形遣いさん。このところ目覚ましい活躍をされるようになってきていました。
 お父さんの吉田玉幸さん(故人)も人形遣いで、その舞台姿を今もよく覚えています。強面の方でしたが、息子さんはお父さんに似なかったのか、柔和な印象の顔立ちです。

 襲名披露の口上には、人形遣いさんばかりが前後2列になって13人座りました。吉田簑二郎さんの司会で、吉田玉男さん、吉田和生さん、桐竹勘十郎さんがお祝いの言葉を述べられました。
 人間国宝で最高格の簑助さんは言葉が不自由(脳梗塞の発作の後遺症)なので、一言も話されませんでした。
 
 簡素で心のこもった襲名披露で、よかったのですが、気になったのは裃の色です。目の覚めるようなピンクなのです。春だからといって、こんな色にしなくてもよかったのになあと思いました。
 いわゆる「どピンク」で、あまり美しく感じられなかったのです。そこだけが残念でした。

 襲名披露狂言「
勘助住家の段」で新・吉田玉助さんが横蔵、のちの山本勘助という役の人形を使いました。簑助さん、和生さん、玉男さん、勘十郎さんも出演して、これ以上はないというぐらい、豪華な舞台でした。

 この場面の「前」を豊竹呂太夫が語りました(「後」は呂勢太夫)。人物の行動に謎が多い上に、一見優しそうな男が突然我が子を殺す場面があったりもして、掴みどころがあるようなないような、難しい場面です。

 以前の私ならきっと眠くなってしまっただろうと思うのですが、今回は違いました。呂太夫の語る義太夫にじっと耳を傾けていると、一つの語、一つの音にも深い意味が感じられ、気持ちがぐいぐいと惹きつけられて行くのです。
 我が子を夫に殺された妻の嘆きはお芝居とは思えないほど身に迫ってきました。

 終わってみると、あらすじが込み入っていて、どう考えても納得がいかず、とても不条理なお芝居でした。その不条理さにむしろ現代性があるのかもしれません。

 「道行初音旅」は、舞台正面奥に二段のひな壇を据え、太夫9人と三味線9人が並びました。こんなしつらえは文楽では珍しいものです。口上のときと同じ、ド派手な裃姿でした。

 登場するのは静御前と狐忠信。静御前を豊竹咲大夫、忠信を竹本織太夫が語りました。これも不思議でした。咲大夫は現在、ただ一人の切場語り。本来なら、呂太夫が語った場面を咲大夫が語るべきだったのです。
 大人数で語る場面に切場語りが登場するのはとても珍しいこと。その上、咲大夫の声に力がなく、一人で語る部分を最小限にしていたことが気になりました。
 前回、織太夫の襲名披露公演の時にはそこそこ元気なように見えたのですが、また体調が悪化したのでしょうか。

 派手で華やかな道行で幕が降りたにも関わらず、咲太夫さんの様子が気になって、おめでたい気分に浸りきれないのが残念でした。

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コメント

こんばんは。
いまNHKで咲太夫さんが口上を述べておられます。
この記事を拝見して、桂さんならきっと録画しておられると確信しました。
(私も録画しているのですが、ついチャンネルを…)
時々声音と語尾がお芝居がかるのが興味深いです。

咲太夫さん、心配ですね。
蓑助さん、まだ後遺症が残っていたんですか…
むかしはあんなに雄弁でいらしたのに…

それでも、義経千本桜でのお花見、よかったですね。
むかし道行初音の段の最初から最後まで口を開けて観たのを思い出します。

おはようございます。
夕べはまだ新聞を読み切っていなくて…テレビも生ではあまり見ないものですから。
住太夫さんの沼津、なつかしいです。胸がいっぱいです。
どうぞ良い休日をお過ごしください。

2014年の文楽公演の後詠んだ拙歌です。

新口の父の念仏子の涙 胡弓の風の沈沈とふく

(にのくちの ちちの ねんぶつ この なンだ こきゅうの かぜの しんしんと ふく)

snowdropさん、
簑助さんは脳梗塞の発作で倒れられてから、凄まじいリハビリの末に人形遣いとしては完璧に復帰され、その後も進歩を続けておられますが、言語はいまだに不自由なようです。
簑助さんが休演なさっていた時期を知っていますので、
簑助さんの遣う人形がまた見られるようになっただけで十分に幸せで、
何もお話にならなくても気になりません。

住太夫さん、亡くなられましたね。
ただ、私の場合、義太夫の魅力に初めて気づかせていただいたのは嶋太夫さんだったので、
嶋太夫さんが引退なさった時の方がもっとショックだったような気がします。
住太夫さんは才能溢れる太夫さんでしたが、お弟子さんが案外少ないんです。
そのことがとても残念です。

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