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2018年4月 7日 (土)

涙ぐんでしまったジャズ・ビブラフォンの演奏

 ずいぶん長い間、更新をサボっていたので、書きたい記事がいくつもたまっています。古い順から書こうと思っていたのですが、考えを改めて、新しい順に書いていくことにします。そのほうが、感動が新鮮なうちに文章にできますから。その代わり、日にちのたちすぎてしまったことは、書けなくなってしまうかもしれません。

 そんなわけで、早速、今日の出来事です。
 西宮市のプレラホールで「酒と桜の日々」というタイトルのジャズコンサートを聴いてきました。もう10年くらい続いているイベントらしいのですが、私が行ったのは今日が初めてです。

 出演は、ゴールデン・シニア・トリオ。ピアノ=大塚善章、ベース=宮本直介、ビブラフォン=鍋島直昶(なおてる)の3人で編成しているグループです。

 このうち、鍋島直昶さんの演奏を私は2010年の12月に神戸のライブハウスで聴いたことがあるのです。ダンディなファッションをまとった老齢の男性。その演奏が素晴らしかったのです。自由自在な手さばき、深く広く響いて心に届く音色。ビブラフォンがお洒落で味わい深い楽器だということを、この時初めて知りました。

 後日、知人から聞いた話によると、鍋島さんはこの時すでに84歳。日本のビブラフォン奏者の第一人者なのでした。「鍋島」という姓やいわくありげな名前が示す通り、鍋島焼という美しい陶磁器を幕府に献上していたことで知られる佐賀・鍋島藩の藩主の末裔なんだそうです。
 その後、なかなか機会がなくて、今日は久しぶりに鍋島さんのビブラフォンを聴く機会に恵まれたのです。
 この「ゴールデン・シニア・トリオ」は、世界最高齢のジャズバンドとして、2015年にギネスブックに登録されています。鍋島さんは当時89歳、大塚さんは81歳、宮本さんは78歳でした。それから3年経っています。現在、3人の年齢は合計256歳だそうです。

 そんな前置きはともかくとして、演奏は最初から最後まで素晴らしいものでした。第一部はAs Long as We Liveから始まり、2曲目のAll of Meからドラムが加わりました。バードランドの子守唄、Stardustなど、名曲が続きます。
 鍋島さんは実は心臓発作で倒れて、2月まで入院しておられたのだそう。そのせいか、演奏が始まってすぐのあたりでは少しおぼつかないというか、素人の私でも「大丈夫かな?」と気になってしまうシーンがありました。

 しかし、いったん乗り始めると、そんな懸念は吹っ飛んでしまいました。鍋島さんの奏でるビブラフォンの音色は深くて大きな広がりを持ち、光のようにも感じられ、宇宙を内包しているようにも思われました。
 何よりも音の響きが優しく温かくて、まっすぐに私の心の奥底にまで届くので、私は何度も涙ぐんでしまいました。大塚さんのピアノも澄んだきれいな音色だし、宮本さんのベースががっちり全体を支えています。なんという名演奏でしょう。
 今まで、ジャズの演奏を聴いてこんなに感動したことはありませんでした。

 7曲で第一部が終わり、休憩を挟んで第二部です。鍋島さんの教え子のビブラフォン奏者が二人(美男美女)が登場しました。舞台の前の方にビブラフォンを3台並べ、その後ろにピアノ、ベース、ドラムが並びます。ビブラフォンを3人で演奏するという構成です。

 曲はThe Moon was Yellow,Carioca(すごい迫力でした),Softly as in a Morning Sunrise(朝日のように爽やかに),bag's Groove.ラストはJust Friendsでした。舞台も客席も全員ノリノリで、アンコールにSunny Side Streetを演奏しておひらきになりました。

 若い二人の演奏者はさすがに力強く、フレッシュな音を聴かせてくれるのですが、鍋島さんの奏でる音はまったく次元が違うのです。もはや技術の問題ではないのでしょう。
 私は心が洗われるような思いがするのと同時に、ジャズのリズムとメロディが楽しくて、客席で体を揺らしながら聴いていました。アンコール曲が終わった時は残念でたまりませんでした。もっと何曲も聴いていたかったです。

 鍋島さんが来年も健在で、またコンサートが開かれることを心から願っています。
 

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