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カテゴリー「茶道」の記事

2019年1月14日 (月)

お茶の先生、米寿の初釜

 

 12日(土)はお茶の先生宅での初釜でした。
 昨年、米寿を迎えられた先生は、このところさすがに足が悪くなってこられ、正座から立ち上がる動作を繰り返すのが無理なようす。これまでは表のお茶室に台子(だいす)を据えて、格式の高いお点前をなさっていたのですが、今年は奥の和室で立礼(りゅうれい)席でした。点茶盤という裏千家独特のしつらえを使って、主客ともに椅子に座っての濃茶席です。

 点茶盤の上に富士釜。浜松文様の皆具。吉祥の道具組みです。壁際に置かれている風炉先は黒柿です。

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 息子さんがやはりお茶の先生をなさっているので、多分、息子さんのアイデアなんだろうなと想像しました。先生が立ったり座ったりに難儀しておられるのを見るのは私も辛いので、立礼席にしていただいて良かったです。

 点茶盤はそれなりに格の高いしつらえなのですが、何といっても立礼は気楽です。和室に座る濃茶席に比べるとくだけた雰囲気があるせいか、とても和やかな空気に包まれました。普通なら濃茶席は決まり事も多くて緊張感の漂うお席なのです。
 私は今年も正客を仰せつかったのですが、アットホームな雰囲気に助けられ、あれこれと気を使い過ぎずにすみました。

 豪華な幕の内弁当をいただいた後、薄茶席へ。こちらは息子さんの指導で、息子さんが教えている若いお弟子さんたち7人が担当されていました。
 なんと、夜咄(よばなし)の茶事の趣向です。

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 お茶室の雨戸を立てきって室内を暗くし、床の端に置いたあかり(これは電球を使ったもの)と、あとは和ろうそくを立てた手燭だけで薄茶をいただきました。

 暗い室内に座り、和ろうそくの炎の揺らぐ中でお点前を拝見したりお菓子とお茶をいただいたり。お道具の拝見の時は客が手燭を順に送って、お道具が見えやすいようにしました。ワクワクするようなお席でした。

 先生のお宅にいつものように30人近い弟子が集まり、あちこちで久々の再会を喜び合う声が上がっています。皆が着物を着ているので、家の中が華やかな色彩に満ちて、お正月らしい気分を満喫することができました。
 今年も先生がお元気で、初釜を催してくださり、そこに参加できたことが何よりうれしくてたまりませんでした。

 この日は去年の初釜と同じ装いにしました。こちらをご覧ください。

 

2018年1月16日 (火)

「お正客バトル」

 前の記事で、初釜の日にお正客を引き受けたことを書きました。私の年齢、お茶歴から言うと、先生側(実際には、準備と当日の運営を手伝っているお弟子さんたち)から「お正客を」と頼まれると、断れないのです。

 私はお茶人としては謙遜でなく極めて未熟で、先生や連客(同じ席に同座する方々)に対して不十分な働きしかできません。申し訳ないと思いながらも、辞退すればご迷惑になることがわかっているので、お引き受けするのです。

 一般に、お茶会では一席が始まる前にお正客を決めます。お茶会では(とりわけ濃茶の場合。薄茶でもお客の人数が多い場合)、正客が連客を代表して、亭主と会話し、道具組みに込められた亭主のもてなしの心を汲んで連客に伝えたり、連客の知りたがっていることを代表して亭主に尋ねたりします。
 お茶会の一席が亭主と客との心の通い合ったものになるためには、正客の役割が計り知れず大きいのです。

 大寄せのお茶会(たくさんのお客を招いて開かれるお茶会。薄茶席が多い)では、誰がお正客をするかが大問題になります。
 主催者側の担当者がめぼしいお茶人(多くはベテランのお茶の先生)にお正客をお願いするのですが、ほとんどの場合、辞退されます。

 「とんでもない。ほら、あの方がいらっしゃいますよ」。担当者がその人のところに行くと、また同じセリフが繰り返されます。これが有名な「お正客バトル」。
 私がお正客になりたい、という自己主張のぶつかり合いではなくて、「私などとんでもない。どなたかほかの方に」という謙譲のバトルなのです。

 これを延々と繰り返されたのでは、お茶会はいつまでたっても始まりません。席主も連客も大迷惑です。
 こんなとき、男性はあっさりした方が多いです。「私はお茶のことを何も知らないのですよ」とおっしゃっても、「こちらで全てご説明しますから(恥はかかせません。大丈夫ですよ)」と申し上げると、すんなり引き受けてくださいます。難儀なのはベテランのおばさま、おばあさまたちです。
 いったいどこまで「謙譲の美徳」が染み付いているんでしょうか。女性は前に出てはいけない、一歩下がっているべき、という思い込みが強すぎて、そのことが周りの迷惑になっていることには目が行っていないようです。

 私は担当者が困り果てている様子を何度も目撃しているので、「お正客を」と頼まれたら、内心は「冗談やめてよ」と思いながらでも、引き受けることにしています。不毛な「お正客バトル」は避けたいからです。
 お茶会はみんなが楽しく、心豊かに過ごしたい、貴重なひとときです。

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